颯爽退勤日記

日々の考えごととか、ねことの日常とか

目を澄ませるというコミュニケーション

三連休最終日。

昨日から腹筋ローラーを始めている。昨日膝コロを5回やっただけなのに、今日も朝起きてやろうとしたら腹筋に筋肉痛が走る。昨日と同じぐらい伸ばすことはできずに終わる。腹筋ローラー怖い。

朝食なのか昼食なのかわからんテンションで残り物のスープとパンを平らげ、川崎に出かけた。目的は「ケイコ 目を澄ませて」という映画。

久しぶりに、映画館で観てよかったなあ〜〜〜と思うカッコいい映画でした。

映画好きな人が作ったんだろうなあ、と思わせられる映像の構図、フィルムの質感。ろう者に焦点を当てた映画だからこその、映像から発せられる音の表現、ろう者を演じる岸井ゆきのさんの演技がたまらなくよかった。

特に、聴覚障害があり全く音が聞こえないことで生まれる人との違い、物事に対する感じ方の違いを、直接言及せずとも観てるだけでまじまじと感じ取れる演出が素晴らしかった。

彼女が川沿いでトレーニングをするというのもあってか、象徴的と言っていいほどに荒川を走る電車の音がうるさいのだけれど、彼女は気にも留めない。聞こえていないのだから当然なのだけど。

コーチが練習生に罵声を浴びせても、気にも留めない。むしろ集中しているように見える。聞こえていないからこれももちろん当然っちゃ当然。

だけど聞こえているマジョリティ、観ている我々から見たらこんなにうるさいのに集中していてすごいな、と思ってしまう。

普段聞いている生活環境音ってこんなにうるさいのかと感じさせられると同時に、それらが聞こえてないからこそ見えているものだけに彼女が集中できているんだ、聞かなくていいノイズがシャットアウトされて羨ましいな、と思ってしまう自分がすごく情けなかった。

それぐらい音と、音とは関係ないところのコミュニケーション(これが耳ではなく目を澄ませるということなんだと思う)が強調されていて、そしてそれをほぼセリフなしの演技で演じている岸井さんがすごい。

見ている間も緊張感が張り巡らされる、見た後はくらったなあと言ってしまう、目と耳にグッとくる映画でした。非常によかった。環境音がある家なんかで見たら勿体無いので、絶対映画館で見た方がいいやつです。